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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

学校へも一度は是非行って、よくお願いもしておきたいと思っていると、或る日、先生の方から咲二に、呼び出しの手紙を持たせてよこした。一月に一度か二度は、きっと学校に呼ばれて、お咲は、人並みでない咲二について、親の身になれば情ない、いろいろの小言を聞かなければならなかったのである。

四月の第一日。R小学校の運動場には、新入学の児童が多勢、立ったり歩いたりしていた。最後に教室から出されて、小砂利を敷きつめた広場の一隅に並ばされた一群の中には、紺がすりの着物を着た咲二が混っていた。付き添ってきた母親達の傍に二列に立ちどまらせると、「皆さん! 右と左を知っていますか? お箸を持つのはどっちでしょう?」と先生が笑いながら訊ねた。

「先生僕知ってます!」

「僕も!」

「僕も知ってます※(感嘆符二つ、1-8-75)」

元気な声が、蜂の巣を掻き立てたように叫んだ。咲二も何時の間にか知っていた。お咲は有難かった。

「それじゃあ、今先生が右向けえ右! と云いますから、そうしたら皆さん右を向いて御覧なさい。さあよしか、右向けえ、右!」

子供達は機械のように、体中で右向けをした。たくさんの足の下で、崩れる小石のザクザクという音、楽しげな笑声が、明るい四月の太陽の下で躍った。