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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
「一層売……」けれども、考えてみればかりにも家老の家柄で、代々遺して来たものに、偽物のあることは、まあ無い方が確かだろうとも思われる。うっかり口車になど乗せられて堪るものかと感じた。で、彼は売るのをやめて、帰ろうとまで思ったが、差し迫っては十円あってもよほど助かる。彼はとうとう決心をした。そして、皺だらけな札と引きかえに、家代々伝わってきた「子猿之図」を永久に手離してしまったのである。
五
「ホーラ見ろ※(感嘆符二つ、1-8-75)」
庸之助は飛び上った。
若し万一、かの記事通りの恥ずべき行為があったなら、親子もろとも、枕を並べて切腹するほかないとまで思いつめて、事実を訊ねてやった返事として、父自身で書いたこの、この手紙を貰ったのだと思うと、五日の間あれほどまでに苦しんだ煩悶が、驚歎せずにはいられない速さで、彼の心から消えてしまった。激しい嬉しさで、彼はどうして好いか解らなかった。ひとりでに大きな声が、
「ホーラ見ろ! 僕の思った通り、きっかりその通りじゃあないか! 見ろやい※(感嘆符二つ、1-8-75)」
と叫んで、じっとしていられない二つの手が、無意識に持った手紙をくちゃくちゃにまるめた。