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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
「分りました。有難う、実に……」
こわばった舌で、辛うじてこれだけ云うと、彼は早速暇をつげた。
どこをどう歩いているのか解らずに、ただやたらに足を動かしていた彼は、しばしば「冤罪だ! 実に恐ろしい冤罪だ!」とつぶやいた。けれども、何か心の中で、ヒソヒソと、それを否定している響があった。
「冤罪だ? お前の父親が?」
通る者の誰も誰もが、自分の顔を見ては、微かながら、侮蔑的な注目を与えて行き過ぎるのを彼は感じた。
「お前かい? 息子というのは……」
どの目もどの目も咎める。身の置場のないというような不安が、始めて庸之助の心に強く強く湧いたのである。永住の地と思い定めて帰った故郷も、やはり今の自分を安らかに、落付かせてはくれぬ。狭量な、無智な批評の焦点となろうよりは――。どんな人間でも匿う穴や、小道の多い東京へまた戻る決心をした。
もう再び踏まぬかもしれぬ土地と離れるときに、せめて父親にでも会って行きたかった。監獄の門まで行ったことさえあった。が、考えて見れば、「公明正大」とあんなに書いてよこした彼が、赤衣を着、鎖につながれた姿を見ることは、また見せることは互に、何という辛いことか、たとい冤罪にしろ(庸之助は冤罪という字を見ると、心がグーッと圧しつぶされた。