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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

の自由でない毎日の生活が、ますます満足出来なかった。彼は決して贅沢なことはのぞまないが、もう少し静寂な時間と、自分独りの時間が欲しかった。けれども浩はよく働いた。真面目に上役の命令に服した。若し考えることを望むなら、それより先に食べる方を安全にしておく必要がある。それ故、目下生活状態を変えることは、不可能であった。まだ十九の、この春学校を出たばかりの者に、十五円ずつ支給してくれる位置は、そうどこにでも転がっていないことは解っていたのだ。いろいろ先のこと、また現在のことを考えると、浩は、絵葉書の集めっくらをしたり、気どった――浩には少しもよいとは思えない――先のムックリ図々しく持ち上った靴などを鳴らしていられなかった。店でくれる黒い事務服の古くなったのを、彼は外出しないときは着ることにしていた。僅かの時間を出来るだけ、利用しようと努めた。それが、変り者と呼ばれる原因である。が、彼はそんなことに頓着するほどの余裕がなかった。制せられない知識慾――押えられる場合が多いにつれて、反動的に強くなりまさってくる――は、ときどき彼に苦しい思いさえさせたのである。