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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
が、彼はそんなことを気にして、怒ったり笑ったりしてはいられなかった。どうかして、薬代だけは自分の力ですませたいと、彼は心をなやましていたのである。国へ送る分だけを、取っておけば済むとも思ったけれども、母親のことを考えると、それもならない気がした。また十円かと思うと、浩は苦笑しながらも涙がこぼれた。
自分一人こうして病人でいるさえ、気が引けて、気が引けて堪らないお咲は、逗留したまま、また父親に床につかれたことは、年寄達に対して、身も世もあられない思いがした。病気も幾分かぶり返し気味で、神経質になっている彼女は、あれやこれや思いつづけると、このまま馳け出して、どこかへ体ごとぶつかりたいほど気が焦立った。
「何をどうしたか分らないけれど、こんなに弱るほど、この年のお父さんをいじめなくたって好さそうなものだのに……。そりゃあ、転んだからということだってあるけれど、ただちょっとつまずいたぐらいで、どうしてこれほどこたえるものか、あれが憎い、ほんとうに親不孝だったらありゃあしない!」お咲は口惜し涙をこぼした。はかどって癒ってくれない、自分自身の体に対しての怨みと、浩及び、無形な何物かに対しての腹立たしさに、彼女はブルブルした。