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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

なのである。彼はその「気」の霊感の前には飽くまでも謙譲であり得た。涙をこぼしながら、どうぞ自分が、ほんとうの一人の人間として善くなりますようにと祈った。そしてどんな苦しいときでも、男らしく辛抱して、遣れる最上を致しますと心のうちにささやくと、疲れた心も奮い立った。進軍の角笛が、高く、高く鳴り響く。心も体も、しゃんとして働ける。

浩は元来、仏教も基督教も信じてはいない。無宗教者であるともいえる。けれども、彼の衷心の宗教心は非常に強い。強いだけ、それを全然満足させ得るものを彼の考えでは見出せなかった。けれどもいつとはなしに、彼の感激を得るようになってから、強いて自分を何々信者として期待しなくなった。十分自分を慰め、励まし、同時に心から悔い改めさせるものが、あればそれでよいと思った。人々が一定の宗教に入るのも、この感激を得るためではないのだろうか? 彼は、彼にとって絶対な感激の本源を認めて安心出来たのである。

十三

浩はこのごろになって、しきりに庸之助と自分との関係を考えるような心持になっていた。それはもちろん、あの晩ああいうことがあったのが原因になってはいるが、父親を見たり、姉を見たりして、各自の生活の型ということを感じて来たのにもよるのである。