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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

はっきり、彼の苦労の形式と、自分の苦労の形式とは違ったものでよい。ただ互に苦しい思いをしているのだということを認めて、堪える心を励まし合って行けば好いということを、感じていればよいのだが。それが疑わしい。きっと自分は、庸之助のいろいろなことが、自分の理想からみると、あまりかけ離れたもののように思っていたのだ」浩は、彼自身が折々感じている、迷惑な同情を、庸之助にもかけていたような心持がした。庸之助の前へ出ると、自分の人格全部が試みられているような不安を感じていたことも考えられた。そして、或るときは、庸之助は、自分の試みのために現われて来た者ではないのかと思ったりしたことも、すまない気がしたのである。何も特別なことは要らない。ただ自然に、正直であれば好いのだと、思うと、かなり久しく会わなかった彼にも、よけい会いたかった。けれども、二三日前から、お咲の帰国の話が出ているので、心に思いながら、わざわざ出かけて行く暇がなかったのである。

退院してから、お咲はあまり工合がよくないので、同じなら入費のかからない、また気苦労のない国元でゆっくり、養生した方が好いと云うのである。