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ひびのパン

日日の麺麭

小山 清

「新女苑 第二十巻第四号」実業之日本社、1956(昭和31)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,039 字 · 11 页

青空文庫

二年目に娘が生れた。おしづは母親によく似た子であった。それでもおしげはおしづの額や口もとが末吉にそっくりだということをよく口にした。末吉も悪い気はしなかった。貧しいなりに平穏な生活であった。

ある日、末吉は酒場で同僚と喧嘩をして相手に傷を負わせた。相手はまだ二十五六の若造であった。ふだんから反が合わなかった。若者にはいつも他人の生活を横目で見ているようなしつっこいところがあった。おれはいつかやるかも知れないと末吉はふと思うこともあった。そのとき、若者は些細なことで末吉にしつっこくからんだ。末吉ははじめはとりあわないでいたが、いつか気持がたかぶってきた。末吉はいきなり目の前にあった銚子を掴んで若者の額を擲った。相手の殺気立った目つきに挑発されたとはいうものの、末吉は自分のやったことが単にそのときの衝動からだけのものでないことを自覚していた。それはふだん心の中で思っていることが、つい口に出てしまうようなものであった。

末吉はふだん喧嘩好きでも、また気性の荒い男でもない。末吉の口から喧嘩の顛末を聞いたとき、おしげは思わず亭主の顔を見つめた。

「あんた。