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ひびのパン
日日の麺麭
小山 清
「新女苑 第二十巻第四号」実業之日本社、1956(昭和31)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,039 字 · 11 页
二人共に小柄で同じ位の背恰好をしている。亭主はべつになにをするということもなくぶらぶらしていて、かみさんが通いでこの辺の家の家事の手伝いなどをして、それで過しているようであった。
かみさんはいかにも気のいい感じで、それにやることは鈍かったが穢い感じがしなかったから、通い先では調法がられているようであった。かみさんは天理教の信徒であった。それがまたとおり一遍でなく、なかなかの気の入れ方であった。末吉はかみさんの善良さが、生れつきばかりではなくて、その庶民的な信仰心に因るものではないかと思った。かみさんには隣人のために縁の下の力持ちをして甘じているようなところがあった。
亭主の方はあまり信心気があるようには見えない。他人には卑下していても、女房には気難しいようなふしが見えた。かみさんはあくまで亭主に仕えているようであった。それでもよくしたもので、二人を見ていると、似たもの夫婦という感じがした。
二人の家も末吉の家と負けず劣らず粗末なものであった。末吉にとってはいい隣人であった。
末吉がおでん屋をはじめたのも、この夫婦にすすめられたからであった。以前、この辺を廻っていたおでん屋がいたが、かみさんに死なれてから国へ帰ったという話であった。