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いっすんぼうし

日本の古典童話

楠山 正雄

楠山正雄『日本の古典童話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:一寸法師、一本のわら、瘤とり、鉢かつぎ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,747 字 · 50 页

青空文庫

三

でもそんなことは女中のしごとには何の役にも立ちません。鉢かつぎはきまりを悪がって、

「わたくしは何にも知りません。」

といいました。

「それではお湯殿の番でもおし。」

といってふろ番の女にしました。それからは毎日毎晩、暗い湯殿のお釜の前に座らせられて、頭から灰をかぶりながら、鉢かつぎは水をくんだり、火をたいたり、朝は早くから起こされて、夜はみんなの寝静まった後までも、立ち働かなければなりませんでした。そして朝は、

「鉢かつぎ、そらお目覚めだ。お手水を上げないか。」

と催促されました。晩になると、

「そら、お帰りだ。お洗足の湯は沸いているか。」

としかられました。

鉢かつぎは朝も晩もお釜の前に座って、いぶり臭い薪のにおいに目も鼻も痛めながら、暇さえあれば涙ばかりこぼしていました。

三

中将には四人男の子がありました。上の三人はもうみんなきれいなお嫁さんをもらっていました。いちばん下の宰相だけが、まだお嫁さんがありませんでした。宰相は大そう情け深い人でしたから、鉢かつぎがかわいそうな姿で、いちばんつらいふろ番のしごとをしているのを見て、いつも気の毒に思っていました。