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にほんのしょうらい

日本の将来

中谷 宇吉郎

「民族の自立」一時間文庫、新潮社、1953(昭和28)年12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,422 字 · 13 页

青空文庫

日本は面積がせまいばかりでない、大部分の土地は山岳地帯で、耕地は一割五分程度しかない。しかしその狭い土地を極度に利用して、水田を作っているが、この水田には山から直接に水が始終流れ込んでいる。この水に溶解した微量の鉱物質が、日本の水田の地力を、永久に保持している、というような意味のことが書いてあった。われわれの祖先のもっていた知恵に、本当に驚嘆したのは、ひょっとすると、アメリカの学者かもしれない。著者はニュー・トリア高等学校という、アメリカでも一、二を争う有名な高等学校の教授で、ミス・ウォルツという先生である。この「極東の歴史」という教科書は、ニュー・トリア高等学校を初めとして、他の高等学校でも使われているらしい。

日本には、耕地が一割五分しかないということも、必ずしも悲観の材料ではない。八割五分の山岳地帯は、木材資源の宝庫となり得るところである。近代の文明国では、木材は食糧にも劣らぬ大切な資源であり、石炭がいくらあっても、坑木がなければ掘れないし、枕木がなかったら、汽車も走れない。大部分の人造繊維の原料も、紙も、もとは木材である。日本では、住宅問題が、今一番の大難関であるが、この解決には木材が不足しては、手のつけようがない。