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にほんのせいしゅん
日本の青春
宮本 百合子
「学習院新聞」1950(昭和25)年12月16日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,484 字 · 5 页
学習院の運営は宮内省からきりはなされ、自主的にされなければならなくなっていること。これらすべての今日の現実を、漱石に理解させることができたとして、彼はどういうテーマで講演するだろう。
やっぱり漱石は、権力・金力に対して毅然たるべき人間性について語るだろうと信じる。三十数年昔の十一月のある日の彼が語ったよりも、更に深い日本への愛と情熱とをもって、日本のヒューマニティーの尊厳と日本の理性の確立のために語ったであろうと信じる。なぜなら、ここにこまごまとのべるまでもなく、こんにち日本の特権階級は、日本の民族の歴史のいつの時にもなかった実情で、悲劇の場に据えられているのだから。日本の悲劇の粉飾として存在するという事情について、新しい人間性にめざめつつある青春は多くのことを考えずにはいられなくされているのである。
社会一般の経済困難、戦争回避のために世界の良心が奮闘しつつある事実。日本の良心と学問の自由のためのたたかい。それらは、もとより学習院の土手を越した。同時に、いまの日本に急速にひろがりつつある不健全な時代錯誤、特権生活への架空な憧れと嫉妬のまじりあったような風潮も、青春の敏感な自意識をむしばみつつある。