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いも
日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)
佐左木 俊郎
佐左木俊郎『日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:芋、黒い地帯、都会地図の膨脹。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,241 字 · 54 页
彼は積極的だった。それが何時も、真摯な考慮を基礎として出発し、積上げられているのだった。彼はそして非生産的なことを嫌った。主張としては、幾分消極的ではあるが、温情主義と見るべきだった。――だから彼は、父親の死と同時に地主の席を譲られると、真面目に農家の副業と云うことに就いて考えた。彼の家の小作人達が、小作米を自分の処へ持って来ると、後に残る米は一箇年間の飯米にも足りないほどで、買う物のために売る物の無いのに、ひどく困って居るのを気の毒に思ったからである。彼は養蚕を奨めて桑を植えさせた。それから養鶏を奨励した。そして彼は、彼の家の所有地を小作している小作人達のためにと、最早七八年もその実地研究を続けているのだ。――其処へ持って来て、権四郎爺の相談は、彼の明日を暗にしようとするようなもので、成立する筈は無いのだった。
「旦那は、やっぱり、煉瓦場近くの土地ば売って了った方が、徳だと思ってんでごあすベ?」
権四郎爺は、今日も亦、話を斯んな風に何時ものところへ持って行った。
「徳にも損にも、あそこだけは、どんなことがあっても売るわけに行かねえのでがす。あそこを売るど、差当り、四軒の家の人達が食うに困んのでがすからね。