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さんとんへやったてがみ

日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)

三好 十郎

三好十郎『日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:山東へやった手紙、棺の後ろから、敗れて帰る俺達、雪と血と煙草の進軍。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,930 字 · 12 页

青空文庫

3

爺さん、お前は血迷って、そう言ったな、

よかろう! お前が俺達と一緒にストライキに入っていなかったら

そうさ、お前は絹の着物を着れたのか?

それから、彼奴が喜こんでくれたのか?

爺さん、ヨロヨロするな!

――彼奴は何もかも知っていた、

「苦しい、助けて」と言ったのは彼奴だったが、

しかし彼奴一人が本当は言ったのじゃ無いんだ。

その後に俺が

「おかね、まだ見えるか?」と言うと

彼奴は何と言った、え、爺さん、おぼえているかい?

「暗いから、あかりをつけて……」

その電燈が一ヵ月前から料金未納でヒューズが切ってあるんだ、だのに

「暗いから、あかりをつけて……」

3

「私が工場でね、検温器を検査器へかけるのをホンのちょいとグズグズしていると

私の手がそれを握っているもんだから

水銀がドンドン昇るのよ、

そいでも三十八度四分位しきゃ昇らないけど

わきの下にかけたら三十九度までは、きっと昇るでしょ」

彼奴は笑いながらそう言った、

びっくりして手を額に当てたら、火だ。

俺達の女達は四十五度になっても、自分の拵えた検温器をかけられない。

彼奴の工場であんなに沢山拵えた検温器は一体誰が使うんだ?

ねえ爺さん、お前も俺もとうとう知らずにすんだ