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しゅんせつせん

日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集

葉山 嘉樹

葉山嘉樹『日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:浚渫船、乳色の靄、生爪を剥ぐ、労働者の居ない船、坑夫の子。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,935 字 · 73 页

青空文庫

三時間か四時間の間に、彼は茹でられた菜のように、萎びて、嵩が減って、グニャグニャになっていた。

おもては、船特有の臭気の外に、も一つ「安田」の臭いが混ざって、息詰らせていた。

水夫達は、死体の周囲に黙って立っていた。そして時々、耳から耳へ、何か囁かれた。

コーターマスターは、ボースンの耳へ口をつけた。

「死んだのかい」

「死んだらしい」

「どうしたんだい」

「やけに呷ったらしいんだ」

「フーム」

「………………」

「で、水葬はいつかい」

「一運に一度訊いて見よう」

「酒が、わるかったんだね」

「ウム、どうもはっきり分らねえ。悪い病気じゃないといいが……」

明日、水葬する、と云うことに決った。

安田は、水夫たちの手に依って、彼のベッドへ横たえられた。

大豆粕のように青ざめていた。

彼の死に顔は、安らかに見えた。そして、こう云ってるように見えた。

「もう、どんな者にも搾られはしない」

これ以上搾取されることが厭になった、と云う訳でもあるまいが、安田の死体が、未だ海の中へ辷り込まない、その夜、一人のセイラーと、一人の火夫とが、「又酔っ払った」

第三金時丸は、沈没する時のように、恐怖に包まれた。