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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

忍緒

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,672 字 · 20 页

青空文庫

四

「いま大戦がおこっているおりから、なにびとに限らず留守城へおいれ申すことはあいなりません、たってお望みなれば銃火をもってお迎え申すばかり、かようにお伝えなさい」

そう云うとともに松子は斎藤刑部を呼び、兵に武装をさせて櫓、木戸、門の警備につくよう申付けた。とりつくしまもなく十郎兵衛は馬をかえして去ったが、城門を出るときには、早くも、銃をとった兵たちが城壁の上にあらわれるのを認めた。

奥へはいった松子は、城兵のまもりをきびしく申し付け、自分も(はちまき)をつけ、著長を着た。刑部にはすべてが謎のようだった。

「おそれながら安房さまお使者への御挨拶、また城兵に戦備をお申付けあそばす思召のほど、いかなる御思案にござりましょうや、お申聞けねがいとう存じます」

「こうするのが留守をあずかる者のやくめです、わたくしの申付けるとおりにして貰います」

四

どうたずねてもそれ以上は云わなかった、そしてすっかり城がため(といっても百騎たらずの兵だった)ができた頃、昌幸父子が沼田の城下そとへ到着し、べつの使者が昌幸の手紙を持って城へ来た。

――そこもと留守の御要慎けんごのおもむきあっぱれに存じそろ。