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にほんすいりしょうせつのまがりかど

日本推理小説の曲り角

十返 肇

「宝石増刊号第14巻第12号」宝石社、1959(昭和34)年10月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,901 字 · 6 页

青空文庫

を書こうとし、それが、読者にも歓迎されたわけである。このことがいわゆる専門作家にも影響を及ぼさない筈はない。最近の新人は、佐野洋にしても、多岐川恭にしても、日本的な生活の中から、ストーリーを展開しようと努力している。もっとも、多岐川氏の場合は氏のディレッタンティズムのために、まだ、かなり現代日本人としては不自然な生活者が多く登場しているが。――ところで、こうした傾向が受け入れられると、専門作家も、これまでとは異った「日本的現実」のなかから物語を創造してゆかなければならない。しかし、その転換が、あまりうまく行かずに、もたついているように、素人の読者の眼には映ずる。横溝氏、大下宇陀児氏らの近作から、私はそうした停滞を感ぜずにはいられない。ヴェテランたちが転換を志しつつ、転換し得ないところからくる、このモタツキが、現在の日本の推理小説が、“曲り角”に来ているといわれる第一の理由ではあるまいか。江戸川乱歩が、作品を書かないのも、そういう転換期の悩みによるのではないかと思われる。

第二の理由は、この、いわゆる純文学系作家の推理小説そのものに求められる。

私は、さいきん殆ど相前後して出版された以上四氏の著書を一册ずつ読んだ。