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にほんすいりしょうせつのまがりかど

日本推理小説の曲り角

十返 肇

「宝石増刊号第14巻第12号」宝石社、1959(昭和34)年10月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,901 字 · 6 页

青空文庫

松本清張えがく古手刑事など、ある種の人間味は感じられるけれど、なにやら大船映画にでてくる脇役みたいなそれであって、魅力というべきものは印象されない。今日は英雄の時代ではないにしても、小説の主人公は魅力ある人物でなければならない。柴田氏の「今日の男」の主人公山河幾太郎という探偵小説家も、眠狂四郎の現代版に過ぎず、もうこの種の人物は、柴田氏自身によって類型化されてしまっている以上、魅力を読者に感じさせることはできない。

新人の主人公またしかり。かつての名探偵のような非現実的な人物でなくなったのは、一応結構であるとしても、あまりにも平凡なサラリーマンや、気障ッぽいディレッタントでは、いくらトリックや謎解きが面白くても今では読者をひきつけない。

最近の推理小説は、自然主義的リアリズム化するとともに、主人公の人間像までが、自然主義文学の人物のように魅力を失ってしまった。これが最大の“曲り角”の理由ではないのか。