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にちぼつのげんえい

日没の幻影

小川 未明

「劇と詩」1911(明治44)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,424 字 · 14 页

青空文庫

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第一の見慣れぬ旅人 開かぬ。決して開かぬ。開いたら奇蹟じゃ。(第三の旅人の顔を見る。)而して真夜中の沙原を吹く風が氷のように肌を冷すと思っている。(眼を転じて第二の見慣れぬ旅人を見て)私等二人は、兎に角歩きましょう、こうやって眤としているのが堪えられぬ怖しさを覚える。眤としていると沈黙が息を止めるように覚える。歩いているうちがまだしも心が休まるような気がする。

第二の見慣れぬ旅人 私も、そう思う。ただ、考えたくない。何とか手足を動かして気がまぎれるようにしたい。

第三の見慣れぬ旅人 私は、この小舎の軒で静かに寝て夢を見たい。眼が醒めたら、星を見て未来を考えたい。――死骸が横わっているという――古い瓶や、壜が転っているという――私は昔の古い夢を見たい。怖しい悪魔の夢を見たい。

第一の見慣れぬ旅人 何故、怖しい夢を――懐かしい夢を見たいと言われぬのか……。

第三の見慣れぬ旅人 どちらも見たい。私は詩人である。

第一の見慣れぬ旅人 あなたは詩人ですか。(驚いた風にて、第三の旅人の顔を見る。)

第三の見慣れぬ旅人 (得意な面持にて)詩も作れば、楽器に合せて歌もうたいます。