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にちろく

日録

山本 周五郎

「日本読書新聞」1961(昭和36)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,076 字 · 11 页

青空文庫

そんなおひゃらかしを言っているようで、こっちは投げるべき小石が無くなってしまい、慰やすことのできないかんしゃくを背負ったまま、仕事場から逃げだしてしまう。つまり、また仕事がのびるというしだいなのである。どういうこんたんがあって神さまがやつのような図太く恥知らずなやくざ者を創造されたのか、私はその精神を聞きたいと思う。今年は喧嘩をするのはよして、どうにかやつとあいびあってゆきたいと思うが、それもやつの出かたによってきまることである。

×月×日

某映画社から或る短篇を「研究させてもらいたい」といって来た。この社は研究心の旺盛な気風とみえ、毎年一度はきまってそういう問い合せが来るし、今年はこれで春から三度めである。「研究する」ことは先方の自由であって、こちらには拒絶する権利はない。法的にも道徳的にも拒む理由はないが、うっかりするとこれを、契約した、というすり替えをやられるので、その点をはっきりさせておかなければならない。――というのもよけいなことだ、私のものなど映画になる気づかいはないのだから。

×月×日

日課の外出で昼食にそばをたべたあと、場末の映画館へはいった。