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にちろく
日録
山本 周五郎
「日本読書新聞」1961(昭和36)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,076 字 · 11 页
というアナウンスを聞き、失笑すべきか泣くべきか少なからず迷った。毎年のことながら、動員される学生諸君が気の毒でたまらない。
雨よ降れ、おまえは自然の生きていることを感じさせてくれる。
×月×日
この数日、仕事が少しも進まない。作中の人物がみんなそっぽを向いてしまい、梃でも動かないばかりか私に反抗しようとしているのである。原稿の終りでは沖也という主人公が、「――だらしがないぞ、きさまはまた人の助けによって窮地を脱した、自分でやったんじゃないぞ」と自責しているのだが、いまその主人公は私からそっぽを向き、「おれはそんなことは言わないぞ」とうそぶきたがっている、「そんなことを言うもんか、まっぴらだ」とも言いたそうなのである。ほかの登場人物も同様に、みんなそらを使って、よそ見をして、作者である私にさっぱり寄りつかない。与六という馬子がいるのだが、いっぱし偉ぶってつんとしているのである。よし、そうしていろ、きさまたちなんか一人残らずかき消してやることもできるんだぞ、と威してみるが、私が原稿料を欲しがっていることをかれらは知っているので、そんな威しには決して乗らない。