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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

25 渡りきらぬ橋

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,172 字 · 36 页

青空文庫

お上女中の部屋は二、三人ずつの共同部屋で、八畳、六畳、四畳半、三畳の四室に屋根裏二階が物置きになっていた。あたしが置かれた部屋は格の好い方で、老侯の愛妾の部屋に隣り、殿様付きの老女格の人と、御前様づきのお側女中との二人が一人の下女中を雇っている世帯へ、食事は御番――主人の食事係が賄うことにして、部屋だけ居候だった。

老女中さんたちは自分賄いの共同台所をもっていたのだから、いきおい物資の消費を節約する。御殿は電燈であったが、おひけになると御寝所や次の間は燭台になって、西洋蝋燭がともされる。それを朝ごとに掃除するのもあたしの役目の一ツだ。あたしは、涙を垂らしたともしかけの蝋燭を、折角きれいにした燭台へさすのは景気がよくないので、日ごとに新しくした。夜が長いと、ともしかえるように新しいのを一本添えておくことも忘れなかった。それで、知らず知らずにともしかけが大きな箱へ溜ってくる。それを一本もって来て、ごく短いのを机の角に立てて、ふとんの上にニヤニヤしていたものだが、今度は、そのうちの長いのを選って、部屋用にさせた。ともしかけは、それまでは取り捨ててしまわれたそうなのだが、老女たちは感心だとよろこんだ。