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わせだかぐらざか

早稲田神楽坂

加能 作次郎

「東京日日新聞」1927(昭和2)年6月11日~29日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,407 字 · 46 页

青空文庫

芸術座創立前後における、私達島村先生の周囲に集まった者等の異常な感激と昂奮とは別としても、私自身も一度は舞台に立とうかなどと考えて、同好同志の数氏と毎日その清風亭に集まり、島村先生や須磨子について脚本の朗読を試みたり、ゴルキイの「夜の宿」などを実際に稽古をしたりしたものだった。私はルカ老人の役に扮し、最早大分稽古も積んで、もう少しで神楽坂の藁店の高等演芸館で試演を催そうとしかけたのであった。その高等演芸館が今の牛込館になったのであるが、当時そこには藤沢浅二郎の俳優学校が設けられていたり、度々創作試演会が催されたりしたもので、清風亭は別として、この藁店の牛込高等演芸館といい余丁町の坪内先生の文芸協会といい、横寺町の島村先生の芸術座といい、由来わが牛込は日本の新劇運動に非常に縁故の深い所だ。

矢来の通りは最近見違えるほどよくなった。神楽坂の繁華がいつか寺町の通りまで続いたが、やがてこの矢来の通りにまで延長して、更に江戸川の通りと連続すべき運命にあるように思われる。消防署附近に、矢来ビルディングなるハイカラな貸長屋が建ち、あたりも大変明るい感じになった。