轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はやみみさんじとりものききがき
早耳三次捕物聞書
林 不忘
04 海へ帰る女
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,707 字 · 12 页
」
で、松どんも仕方なしに家内へはいったが、いっそう腑に落ちない顔で、
「しかし、妙だなあ!」と眼を円くして、「いま来た女の人ね、あの白い着物を着た――ずぶ濡れだったよ。」
が、長どんは相手にしない。
「ふふふ、雨も降っていねえのに濡れて来るやつがあるもんか。お前はどうかしてるよ。」
「だって、ほんとに濡れてたんだもの、頭の先から足の先までびしょ濡れだった。」
「ばかな! またかりに雨なら雨でそのために傘って物があらあ。しっかりしろ。」
松どんくやしがって泣き声だ。
「いくらおいらがしっかりしたって、濡れてたものは仕方がねえ。」
「だからお前は妙痴奇林の唐変木の木槌頭のおたんちんだってんだ。」
「白い着物からぽたぽた水滴が落ちてたい。」
「なにいってやんで! 手前の眼から落ちそうだい。」
とうとう喧嘩になった。そこで番頭が仲裁に入って、ともかく松どんがそういうものだから、まだ女が去って間もないことだし、もし濡れていたものなちその跡でもあるかもしれないと、女が立っていた酒樽の土間を調べてみると、なるほどそこの土だけが水を吸ってしっとりとしていた。まず松どんが勝ったわけで、店の者は不思議に思いながらも、その晩はそれですんでしまった。