轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めいじのせんそうぶんがく

明治の戦争文学

黒島 伝治

「明治文学講座 第四巻」木星社、1932(昭和7)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,887 字 · 24 页

青空文庫

後の銃後と相俟って、旅順攻囲の終始が記録的に、しかも、自分一個の経験だけでなく、軍事的知識と見聞をかき集めて、戦線を全貌的に描き出そうと努めてある。しかも、多くを書いてあるのに、視野は広いとは云えないし、自由でもない。客観的な現実はそのまゝこゝへは反映していない。「一兵卒」はこれに比すると、量は十分の一にも足らないが、現実は遙かに歪められず自由に掴まれている。

これは、旅順攻囲戦という歴史的な客観的現実を愛国的探照燈で照し出したるが如きものである。客観的な戦争は、探照燈の行った部分だけ青く着色されて映るが、探照燈はすべてを一時に照らすことは出来ない。だから、闇の見えない部分が常に多く残されている。そして若し、別の探照燈で映すならば、現実は、全然ちがった姿に反映するかもしれないのだ。芥川龍之介のやはり旅順攻囲戦争に取材した「将軍」をよんでみるならば、それはすぐ分る。芥川の用いた探照燈は、「肉弾」に用いられてゐる探照燈とはちがうのだ。だから、そこへは、同じ現実でありながら、全然反対なものが投影している。一方には、従順に、勇敢に、献身的に、一色に塗りつぶされた武者人形。