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やせがまんのせつ

明治十年丁丑公論・瘠我慢の説

福沢 諭吉

福沢諭吉『明治十年丁丑公論・瘠我慢の説』。同一底本的分册已合并为一书。收入:瘠我慢の説、旧藩情。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,663 字 · 48 页

青空文庫

今、旧中津藩地士農商の言語なまりの一、二を示すこと左のごとし。

上士     下士      商       農

見て呉れよと みちくれい  みちくりい  みてくりい   みちぇくりい

いうことを

行けよという いきなさい  いきなはい  下士に同じ   下士に同じ

ことを           又いきない          又いきなはりい

如何せんかと どをしよをか どをしゆうか どげいしゆうか 商に同じ

いうことを                又どをしゆうか

この外、筆にも記しがたき語風の異同は枚挙に遑あらず。故に隔壁にても人の対話を聞けば、その上士たり、下士たり、商たり、農たるの区別は明に知るべし。(風俗を異にす)

右条々のごとく、上下両等の士族は、権利を異にし、骨肉の縁を異にし、貧富を異にし、教育を異にし、理財活計の趣を異にし、風俗習慣を異にする者なれば、自からまたその栄誉の所在も異なり、利害の所関も異ならざるを得ず。栄誉利害を異にすれば、また従て同情相憐むの念も互に厚薄なきを得ず。譬えば、上等の士族が偶然会話の語次にも、以下の者共には言われぬことなれどもこの事は云々、ということあり。