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めいじてつがくかいのかいこ
明治哲学界の回顧
井上 哲次郎
04 結論――自分の立場
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,235 字 · 22 页
それで自分は国民道徳を力説することになったのである。国民道徳のことをいうものは明治の初年からあったけれど、これを一箇の学として講じなければならぬようになったのは、明治の末年からである。それには自分が主として関係したことで、その要旨は『国民道徳概論』にまとめてあるのである。殊に中島力造のごとく西洋倫理を翻訳的に紹介し、全く一般的普遍的の倫理を講じて、毫も東洋倫理殊にわが日本の国民道徳を説かないということはあまりに実際に適しないやりかたで、どうしても倫理は東西洋の倫理を打って一丸とし、実行するでなければならぬという考えから、余は国民道徳を主張し、学界の欠陥を補い、大いに倫理を実際的ならしむるに努力したのである。しからばその国民道徳は理想主義であるか功利主義であるかといえば、利用厚生と云う程度において功利主義と矛盾しないけれども、そこにとどまらないではるかにそれを突破して向上するものであるからむろん理想主義である。
五 宗教観
宗教に関しては、自分の論文はしばしば『哲学雑誌』および『東亜の光』等に発表したので、今くわしくこれを論ずるの暇はないけれど、畢竟、理想的倫理的の宗教を最も進歩したる宗教として主張したのである。