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めいじてつがくかいのかいこ

明治哲学界の回顧

井上 哲次郎

01 序論

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,814 字 · 12 页

青空文庫

わが国においてドイツ哲学の重要視せらるるようになったのは自分らの努力によることが多大である。もっとも明治二十年に来朝したブッセなどもこのことに関係がなかったとはいえない、それまでの英、米哲学を本位にしておったのとは非常に形勢が変ってきた、殊に大学およびその他講壇の側において然るのである。それで、明治二十三年は諸種の方面からみて、哲学史上一時期を劃していると思われる。

それで、明治の哲学の第二期においては哲学を研究する者はいずれもドイツの哲学を主として研究したのである。まして外国教師の哲学を担任せるものとしてブッセだのケーベルだの、これらはいずれもドイツ人であるから、この哲学界における傾向と看過すべからざる関係があった次第である。かようにドイツの哲学を骨子として研究するようになした影響は今日まで多大に残っていることを誰しも認めるであろう。ただ今日はどうもとかくドイツ哲学のみによって、あまりにそれに呑まれ過ごしてその範囲からとうてい脱却し能わざるような状態となっている。いいかえてみれば、ドイツ哲学に拘泥し、またこれに心酔することが極端となったような状態である。