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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
「その晩お風呂はあったろうね」
「それは祝言ですから、お風呂をたかないはずはありませんねえ。けど、私はお風呂はいただきません」
「酒宴の最中に風呂にはいった物音をきかなかったかね」
「お風呂は道場の方についていて、台所から離れているから、物音なんぞきこえません」
「お料理を作っていたのはお紺かい」
「いえ。料理屋の仕出しですが、お手製のものはサチコさまが主に指図してお作りになっていたようですよ」
「お前は山本定信さんのお邸にも出入りするそうだね」
「ええ。時々もみ療治にあがります」
「お前は大工のベク助を知っているかえ」
「ええ。そういう人が居たてえことは聞いてましたが、ツンボでオシだから、メクラの私には知りようがありませんでしたねえ。たしか金三さんの話ではベク助のツンボとオシはニセモノだてえことでしたよ」
「それは確かにニセモノだそうだよ。ところでお紺が父と兄を手びきしたような気配はなかったかい」
「そんな気配はメクラの私には分りませんねえ」
新十郎の訊問はそれで終りであった。
新十郎はなお数日出歩いた。そして彼が犯人を指名する日がきたのである。
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