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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
16 その十五 赤罠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,372 字 · 67 页
ただし当日と違った点があったら、その通り仰有って下さい」
こう言い渡して、新十郎は棺の中にねた。花廼屋と虎之介が清作らの代りに三本の釘をうった。
火消装束の一同が棺を担ぎあげる。木やり音頭をうたいつつダビ所へ運びこんで中央に安置して、そこでまた木やりをやって、シャン/\と手をしめて室内から立ち去る。最後に土佐八が扉をしめ、錠をおろし、一同はヤマ甚や花廼屋らの見ている前へ戻ってきて列をつくって、
「あの日と同じことが終りました」
と、土佐八が報告した。
ヤマ甚はうなずいて、
「すると、あの建物には、たしかにヌケ穴はないな」
「ございません」
「扉に錠をおろしたあとでは誰も出入はできない筈だな」
「できない筈だと思います」
「大工の術ではどうしても人の出入が考えられないと云うのだな」
「そうです」
「ところが結城さんは中から出てみせるそうだぞ」
土佐八は苦笑して、
「旦那、とんでもねえ話だ。結城さんはとっくに出ているのですよ。私らにどうしても腑に落ちないのは、あの中から出た筈の山キの旦那があの中へ再び戻って死んでいたことでさア。旦那は私たちと一しょに出て来たのだから、ダビ所の中はカラッポの筈でさアね」