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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

17 その十六 家族は六人・目一ツ半

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,745 字 · 44 页

青空文庫

見えるようには、いかねえや。だが、あにいには大がいのことが分るらしいね。化け物婆アも、お志乃さんも、そう云ってるよ。石頭で、強情ッぱりだが、メクラのカンだけは薄気味わるいようだ、とね」

「バカにするな」

角平が真剣にムッとしたから、新十郎はとりなすように話をかえて、

「あなた方の御給金は?」

「給金なんてものはありませんや。四分六の歩合ですよ。私らが四分で。もっとも、稲吉は見習だから、稼ぎはそッくり師匠の手にとられます。この節はどの町内もアンマだらけで、もう東京はダメでさア」

弁内は相変らずオシャベリだった。

「オカネさんの晩酌は毎晩のことかね」

「ヘエ。左様で。私らに食事をさせてから、独酌でノンビリとやってるようで、独酌でなきゃア、うまかアないそうですよ。師匠がウチにいても、師匠に先に食事をさせて、それから一人でやってまさア。もッとも、師匠はいけない口ですがね」

「晩酌の量は?」

「一晩に五ン合とか六合てえ話だなア。キチンときまッた量だけ毎日お志乃さんが買ってくるんで、誰もくすねるわけにいかねえというダンドリでさア。それをキレイに飲みほして、お茶づけをかッこんで、ウワバミのようなイビキをかいて寝やがるんで」