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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
17 その十六 家族は六人・目一ツ半
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,745 字 · 44 页
「婆さんは毎晩いつごろやすむのかえ」
「こちとら時計の見えねえタチだから、何時てえのは皆目分りやしねえや。酔ッ払ッて、ガミガミうるさく鳴りたてやがると、そろそろお酒がなくなるころで、あの晩は私らが仕事にでるころ、そろそろ茶づけが始まってたね。私やハバカリにしゃがんでるとき婆アが茶づけをかッこみだしたのを聞きましたよ」
「すると、あなた方が仕事にでると、まもなく婆さんは眠ったわけだね」
「たぶん、そうだろうね。茶づけを食ッちまやがると、たちまちウワバミのイビキでさア。私らには分らないが、なんでも片目をカッとあけて眠ってやがるそうで。怖しいの、凄いの、なんの。二目と見られやしないという話でさアね」
一人ペラペラまくしたてるのは弁内だけだった。
今とちがって火葬の設備が悪いから、夜分にならないと家族たちは戻らない。新十郎一行は一廻りして、一同のアリバイを確かめることにした。表へでると、通りを距てて、筋向うが焼跡だった。
「この火事は近頃のものらしいですね」
「十日か、十二三日も前でしたか。夜中の火事でしたが、風がなかったので、運よくこれだけで食いとめたそうです」