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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
21 その二十 トンビ男
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,486 字 · 57 页
その後は田島町で易者になったということだ。鬼の悪業はこの易者が存分に知ってるだろ」
誰々が折ヅメを食べたか? それを思うと気が滅入ってしまうが、まだやっと四日目だ。あと六日と半日あまりある。あせることはない。胃袋の内容から離れることは全然無意味な廻り道か遊びにすぎないような気がしたが、十二名の血族にここでいきなり飛びつくのはそれがアセリというものだ。
楠はこう考えて寺をでると、坊主の言葉にしたがい、田島町の易者天心堂を訪ねることにした。今度は坊主のように楽な相手ではないらしい。
★
楠は自分の年齢から考えて、加十の遊び仲間の弟と名のった。遊ぶ金に窮した加十にたのまれて自分の兄が用立てた金が千円の余になってるが、せっかく証文を握りながら加十の勘当、行方不明でこまっている。行方の心当りはないか、というわけ。これは易者向きの用にもかなってるから、
「見料はいかほどで?」
冗談のつもりだが、ためらって云うと、天心堂は一向にためらわず、
「この見料はチト高いなア。そこを大負けにして三円にしてやろう」
ベラボーな高いことを云う。楠は内心泣く泣く有金をはたくようにして三円払った。