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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
21 その二十 トンビ男
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,486 字 · 57 页
「オレも鬼の才川平作の手下になって利息の取り立てをやってるうちに、人の人相が読めてきたな。あのころは鬼をあざむき、鬼を泣かせる奴らが多くてこまったな。怖しい奴、ずるい奴、向うところ強敵ばかりでユダンができない。それで敵を知るために必死に人相を読もうという心得が自然にできる。そのオカゲで易者になったが、真剣勝負の心構えで必死に会得した実学だから、オレの人相判断と易の卦はよその易者のヘナヘナの見立てとちがう。思い当って感心したら、またおいで。一々オレの見立てに伺いをたてて世を渡る者は必ず出世するぞ。三円五円の見料はタダのようなものだ」
兇悪そうな目玉を落附きはらってむいている。ニヤリともしない。
「鬼の平作も血のつながる身内の者には目をかけてやる奴で、馬肉屋の弟又吉、妹のムコ女郎屋の銀八、いずれも平作が身を入れて引き立てたおかげで裕福だ。その代り平作の日ごろの訓戒を裏切ると、親でも子でも親類でもない、敵同士だ消えてなくなれとくる。加十の勘当がそれだな。可愛さあまって憎さ百倍。鬼にはそれが強いのだ。加十は杉代のはからいで京都で坊主になったが、またぐれて寺をとびだしてから行方が分らない。