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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
13 その十二 愚妖
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,839 字 · 55 页
まだ若いくせにねえ。それも商売女には手をださずに、農家の娘を漁って歩いてるんですよ。あげくにそれを仲介してサヤをとって、結構、モトをとって、モウケている始末。一文も親の小ヅカイをもらわずに、存分に道楽してるという達者の倅なんです」
「それは変った話をきくものだ、ここや花房の湯もその倅の世話で女を買うことがあるのかね」
「深いことは知りませんが、そこにワケがあるようですよ。ここの旦那は山男の方を信用していたようですが、ちかごろは山男が花房の仕事にかかりきっていたようです。山男の口ききで新しくここへ来た娘がちかごろは居ませんねえ。ところが質屋の倅は、そのせいか、すっかり花房に袖にされたようですね。花房と質屋の境をごらんなさい。二階の窓よりも高い塀ができてるでしょう。質屋の倅が女湯をのぞいて困るというので、あの塀になったんだそうですが、それ以来、質屋の倅は花房の旦那を憎んで、誰にも分らないように殺してみせると人に語っていたそうです。ウチの旦那は質屋とモメゴトを起したようにはききませんが、花房も怖しいが、質屋の倅は花房よりも怖しい奴だと言い言いしたそうです。