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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
18 その十七 狼大明神
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 页
悟りきった昔の富豪に別れを告げて、一同は伊之吉の小屋を訪れた。彼は二十七だそうだ。彼もまた素朴ながらも利巧そうな眼をもつ若者だった。彼も気軽に来客を迎えた。
「いつからここに住んだのですか」
「二十一の年から足かけ七年になりますよ」
「どういうわけでここへ住む気持を起したのですか。誰かが信仰に誘ったのですか」
「里の暮しがイヤになったからですよ。神の矢に殺された父の子は、里の人には何年すぎても珍しがられるばかりだからね。神の矢のお膝元では誰もオレを珍しがらないね。フシギな話だね」
「ここへくると珍しがられないということが、どうして思いついたのだろう。加治さんの先例をきいたからだろうか」
新十郎がフシギそうにこう訊くと、彼もフシギそうな顔附をして、
「そう云えば、ここへくると珍しがられないということをどうして思いついたかフシギだねえ。だが、オレの立場になった人は誰だって里に住むのがイヤになるね」
「他国へ働きにでることを考えてみなかったかね」
「考えたことは大ありさ。だが、その前にちょッとここを見物したいと思って来てみたら、住みつくようになってしまっただけさ」
「なるほど。