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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
07 その六 血を見る真珠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,951 字 · 51 页
外套膜の中央部、内臓を覆う組織の中に生じるものは一般は小形である。以上の袋真珠に比して筋肉真珠は形も光沢も悪く、殆ど宝石の価値を持たないものだ。
しかし、いかな白蝶貝の老貝とはいえ、どの貝からも真珠がとれるというようなザラに在るものではないのである。しかし白蝶貝は、真珠がなくとも貝殻自体が装飾品として相当の値(今の値で千五百円、二千円ぐらいか)で売れるのである。
昇龍丸が発見した海底の真珠貝は、貝殻も巨大であるが、真珠の含有率も甚だ良好であったのみならず、良質の真珠が多く、畑中の指が銀白色の真珠をつまみだすたびに、期せずして一同の口から歓声があがった。
採った真珠は数的には公平に分配することになっていた。ただ各自が真珠を選びとる順序があった。第一は畑中、次は八十吉、清松、竹造の順で、それ以後は船員の階級順であったが、今村は臨時の乗員であるために下級水夫の上位、ほぼ全員の中間ぐらいに位していた。ドン尻がキンとトクの女子であった。真珠の数の有る限り、何回でもこの順序で自分の物を選び取ることを繰返すのである。これは畑中の発案で、彼としてはこれで公平と思っていたし、事実労資の分配率ははるかに差の甚しいものであったから、予測せざる現実が起きるまでは、誰一人異見を立てなかったのである。