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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
08 その七 石の下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,242 字 · 65 页
それをそッくりやるわけにはいかぬが、長の山には平地があるから、お前一人の腕で今年一年かかって山をきりひらいて畑にしただけくれてやる。明日からさッそく仕事にかかるがよい。しかし、人手を頼んではならないし、また今年一パイきりひらいた分だけだぞ」
時は三月はじめであるから、年の暮までには相当ある。地伯は兄の厚意をよろこんで、翌日から雨風にもめげず、日のあるうちは開墾にかかる。なれない労働だが、働く分だけ自分のものになると思えば、夢中であった。と、半月ほどすぎたころ開墾の現場へ役人がきて、彼を捕えて牢へぶちこんでしまった。そこは安倍家の山林ではなく、他家のものであった。
地伯は役人に哀訴して、兄の天鬼にきいてくれ。兄がこれこれ云ったのだから、兄の思いちがいなら、兄がなんとかしてくれるに相違ないから、とたのんだが、役人が天鬼の言葉だと伝えたものは、
「とんでもない。あのバチ当りめが。長の山は今ではウチの山ではないと云ってきかせても、そう云ってオレをだましてオレに何もくれないツモリだろうと一人ぎめに開墾をはじめた悪者でござる。ウンとこらしめて下され」
という返答だった。