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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
ガンベがいった。
「一番資格のない俺の発言を尊重しろ。人見の奴は口を拭っていやがるが貴様は偽善者だからなあ。柿江は途中で道を間違えるに違いないしと。西山、貴様はまた天からだめだ。気まぐれだから送り狼に化けぬとも限らんよ。おたけさん、まあ一番安全なのは小人森村で、一番思いやりの深いものは聖人園だが、どっちにするかい」
おたけは送ってもらわないでもいいといって、森村と園とを等分に流し眄で見やった。西山はもう万事そんなことに興味を失ってしまった。園が送ることになっておたけといっしょに座を立っていった。その時星野からの葉書を自分の側に坐っていた柿江に何かいいながら手渡した。
とにかく一人の娘の見送手などに選ばれるというのはブルジョア風の名誉にすぎない。
「園にはいやにブルジョア臭いところがあるね」
自分の言葉が侮蔑的に発せられたのを西山は感じた。
「そりゃ貴様、氏と生れださ。貴様のような信州の山猿、俺のようなたたき大工の倅には考えられないこった。ブルジョアといえば森村も生れは土百姓のくせにいやに臭いな」
ガンベはつけつけこういった。
けれどもおたけがいなくなると部屋の調子がいわば一オクターヴ低くなった。