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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
男の生徒たちは、「おおげさなまねをする奴だ」というように、柿江の笑いに同じた。
その時尋常四年生の教室――それは壁一重に廊下を隔てた所にあるのだが――がきゅうに賑やかになって、砂きしみのする引戸を開くとがやがやと廊下に飛びだす子供らの跫音がうるさく聞こえだした。めいめいが硯を洗いに、ながしに集まるのだった。柿江は話の腰を折られて……
「先生その人はそれからどうかして生き返るんだろう」
と一人の男生がその騒がしさの中から中腰に立ち上って柿江に尋ねた。
終業の拍子木が鳴った。
「いや死んでしまったんだ」
大半の生徒は拍子木の声に勇みを覚えたように、机の蓋をばたんばたんと音させて風呂敷包を作りはじめる。その中にも今まで聞いていた話の後を知ろうとあせるものがあった。
「先生、先生はどうしてその人を谷底から上に持ち上げた?」
「先生か、先生は持ち上げられなかったから、一人で崕を這い上って、村の人に告げた」
「先生、その旗を見せてくれえよ」
柿江は話の都合上、自分は一枚の珍らしい旗を持っている。その旗の持主がまた珍らしい人なのだと前置きをして、その夜の修身を語りはじめたのだった。