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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
「よしよし次の晩旗も見せてやるし、先生がその男の死んだのを村の人に告げてからの話もしてやる。村の人がどれほどその男の偉さに感心したか……」
柿江はそういうと、耳を聾がえらせるような騒々しさの中で、今までの話を続けたい気持にされていた。自分でも思い設けぬような戯曲的な光景があとから口を衝いて出てきそうな気がした。その時突然、
「先生それは皆んな作り話だなあ」
というものがあった。柿江はぎょっとした。そしてその声のする方を見ると、少し低能じみた、そんな見分けのつきそうにもない小柄な少年の戸沢だった。柿江は安心して大胆になった。
「いいや、本当も本当、先生が自分で遇ってきた出来事なんだ」
この会話で教室内の空気がちょっと鎮まった。生徒たちは隙でも窺うように柿江の顔つきに注意した。
「だって俺今夜こけへ来る時、その人に往来で遇ったもの」
柿江はしまった……と思ったが、思った瞬間に努力したのはそれを顔色に現さないことだった。そして咄嗟に、習慣的になっている彼の不思議な機智は彼をこの急場からも救いだした。
「戸沢は夢でも見たんだろう。……あ、解った。戸沢はその男の似而非者に遇ったんだな。