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えいがかいてぢかのもんだい

映画界手近の問題

伊丹 万作

「改造」1936(昭和11)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,970 字 · 16 页

青空文庫

なぜならば「おれたちのほうで雇わなかったら君はもう行く所はないじゃないか」という腹があるから話はともすれば一方的になりやすい。

してみると四社連盟による利益を蒙るものは必ずしも協定加入の各会社ばかりではなく、その余沢は不加入会社にまで及んでいることがわかる。右のような次第で、結局被登録者には退社の自由はほとんど皆無といってもさしつかえない状態になっている。

しかも右の協定は雇傭に関する相互契約の有無にかかわらず適用される。つまり始めからまったく契約のないものでも、あるいは契約満期後のものでも会社が契約の続行を希望した場合にはみな一様に適用されるのである。

一例をあげると私たちは同志相寄って連合映画社なるものを創立し、業いまだ緒につかざるに先だって一敗地にまみれてしまったが、このメンバーの中にはだれ一人として会社との契約に触れる行動をとったものはない。そればかりか、退社後もひっかかりの仕事には全部出勤して、ことごとく従業員としての責任と、社会人としての徳義を全うしたものばかりである。

それにもかかわらず新興キネマは、杉山、毛利、久松の三名を挙げ、右は会社に迷惑をかけた不埓ものであるから、絶対に雇用するなかれという意味の通告を各社に向って送付している。