轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えいがざっかん(ろく)
映画雑感(Ⅵ)
寺田 寅彦
「渋柿」1935(昭和10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,028 字 · 8 页
二階からはピアノが聞こえて来る。階段を上りつめてドアの前に少時佇む。その影法師が大きく映る、という場面が全篇の最頂点になるのであるが、この場面だけはせめてもう一級だけ上わ手の俳優にやらせたらといささか遺憾に思われたのであった。
テニス競技の場面の挿入は、物語としては主要なものでないが、映画の中の挿話として見ると不思議な心理的な効果をあげている。「大戦」と、ルパートのいわゆる「戦いはこれから始まるのだ」のその「戦い」との間に、この楽しい球技の戦いが挿入されている。そうして球技場の眩しい日照の下に、人知れず悩む思いを秘めた白衣のヒロインの姿が描出されるのである。
つまらない事ではあるが、拘留された俘虜達が脱走を企てて地下に隧道を掘っている場面がある、あの掘り出した多量な土を人目にふれずに一体どこへ始末したか、全く奇蹟的で少なくも物質不滅を信ずる科学者には諒解出来ない。(昭和十年八月『渋柿』)