轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

チュンタオ

春桃

宮本 百合子

「近代文学」2、3号、1946(昭和21)年2、4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,868 字 · 22 页

青空文庫

二十八年間を中国に暮したC女史にとって、故郷の天気は却って体に合わなくなっている。C女史はものうくベッドにもたれていた。軽快な足どりでそこへ入って来た淑貞はいつものように、C女史をやさしく劬わり、笑いながら「母さん御覧なさい、これ、あたし達が前にピクニックに行った時の写真よ、天錫さんが私の知らないうちにとったのがあるのよ」

C女史は、ものうくその写真をとりあげた。八枚の最後の一枚を手にとりあげたとき、C女史は突然目を見はった。

若葉でいっぱいに飾られたゴムの大樹、一面の芝原、うつむいて御馳走のふたをとろうとしていた淑貞が、にわかに頭を擡げた瞬間にシャッターがきられている。淑貞の「顔一杯の嬌笑、それは驚きと喜びと情熱の哄笑です。生々とした眸、むき出された雪白の歯、こうした笑いをC女史は十年この方絶えて見たことがありませんでした」戦慄が、C女史の体を貫いて走った。名状しがたい感激がわき上った。「驚きではない、怒りでもない、悲しみでもない。彼女はただしっかりとこの一枚のうつしえを抱きしめました」

再びその部屋に入って来た淑貞の咲きみちた花のような姿は、C女史に「一団の春意屋中に在りて流転す」