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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

岡本綺堂『時代推理小説 半七捕物帳(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 页

青空文庫

「なに、用というほどのむずかしいことじゃあねえので……。亀吉はどんなことを云って嚇かしたか知らねえが、実はほんの詰まらねえことで、わざわざ来て貰うほどのことでもなかった。ほかじゃあねえが、おまえさんは此の頃に猫の児をどうかしなすったかえ」

「へえ」と、富蔵は案外らしい顔をした。「それを何か御詮議になるんでございますか」

「いや、別に詮議というほどの角張ったことじゃねえ。ただわたしの心得のために少し訊いて置きたいことがあるのだ」

「へえ」と、富蔵はまだ呑み込めないように相手の顔をながめていた。

「そんなことは嘘かえ」

「なにかのお間違いで……。わたくしは一向に存じません」

話がまるで違っているので、亀吉も黙ってはいられなくなった。

「おい、おい。なにを云うんだ。おまえが大事の猫を逃がしたと云って、さんざん愚痴をこぼしていたということは、仲間の者から聞いて知っているんだ。隠しちゃあいけねえ。さもねえと、おれが親分に嘘をついたことになる。よく後先をかんがえて返事をしてくれ」

「でも、わたくしはなんにも知りませんのでございますから」

富蔵は皺枯れ声ですらすらと弁じながら、飽くまでも知らないと強情を張った。