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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

岡本綺堂『時代推理小説 半七捕物帳(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 页

青空文庫

三

麹町から四谷へまわって、半七が神田の家へ帰ったのは、冬の日の暮れかかる頃であった。湯に行って、ゆう飯を食ってしまうと、善八が来た。

「季節になったせいか、寒さがこたえますね」

「御同様に歳の暮れというものは暖くねえものだ」と、半七は笑った。「その節季に気の毒だが、一つ働いて貰いてえ事がある。急ぎと云うものでもねえが、急がねえでもねえ。まあ、せいぜいやってくれ」

「なんですね」

「かたき討ちの助太刀と云ったような筋だ」

「芝居がかりですね」と、善八も笑った。

「こういうことになると、おれもちっと芝居気を出したくなる。本当ならば虚無僧にでも姿をやつして出るところだが、真逆にそうも行かねえ。まあ、聴いてくれ」

吉良の脇指の一件を聴かされて、善八はうなずいた。

「成程、こりゃあいよいよお芝居だ。そこで、先ずどこから手を着けますね」

「この一件は四谷の常陸屋の係りだ。如才なく、ひと通りの探索はしているだろうが、こっちはこっちで新規に手を伸ばさなけりゃあならねえ。直七と鶴吉の話によると、その伝蔵という奴は秩父の生まれだそうだが、一文無しで故郷へ帰ることも出来めえ。