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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

岡本綺堂『時代推理小説 半七捕物帳(四)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳、半七捕物帳。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 页

青空文庫

前にもいう通り、橋の工事で広小路はふだんよりもさびれていたが、それでも食物屋のほかに、大道商人や大道易者の店も相当にならんでいた。易者は筮竹を襟にさし、手に天眼鏡を持ってなにか勿体らしい講釈をしていると、その前にうつむいて熱心に耳を傾けているのは、十八九ぐらいの小綺麗な女であった。半七は幸次郎をみかえって訊いた。

「おい、おめえはあの女を知っているかえ」

「冗談じゃあねえ。いくらわっしだって、江戸じゅうの女をみんな知っているものか」

云いながら、幸次郎は女の横顔をのぞいて、笑い出した。

「いや、知っています、知っています。あれは奥山のお光ですよ」

「むむ、宮戸川のお光か。道理で、見たような女だと思った。あいつ、いい亡者になって大道占いに絞られている。はは、色男でも出来たかな」

「色男でも出来たか、おふくろと喧嘩でもしたか。まあ、そんなところでしょうね」

自分の噂をされているとも知らずに、お光は見料の銭を置いて易者の店を出た。本来ならば唯そのままに行き過ぎてしまうのであるが、虫が知らせるというのか、半七は立ちどまって彼女のうしろ姿を暫く眺めていると、お光は更に両国橋に向って辿って行った。