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とけいとまどのはなし

時計と窓の話

小川 未明

「小学五年生 4巻6号」1951(昭和26)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,803 字 · 10 页

青空文庫

「ご苦労さま。」と、母は、ねぎらいました。

父は、おくから出てきて、

「この時計ですよ、覚えがありませんか。公使の方が持ち帰られたとかいうのですが。」と、主人に見せました。

「そんなことがありましたかな。十年といえば、いや、私だって、このとおり頭がはげましたから、時計が、いたむのもむりはありません。このごろ、日本製でいいのができました。このさい、おとりかえなさるほうが、およろしいかもしれません。」と、主人はいいました。

「こんなになっても、買う人がありますか。」と、父が聞きました。

「それが、おかしなもので、外国製というので、買っていく人がありますから。」と、主人は笑いました。

「ただ、かざりにするなら、この時計は、りっぱなもんだ。」と、父も、笑いました。

主人が時計を持ちさってしまってから、わずか二日ばかりの内に、父は、日本製の新しい目ざまし時計を買ってきてくれました。いかにも、はりきっていて、元気よく、めざまし時計は、シャン、シャン、と、ひびきをへやじゅうにたて、黒い針は、数字の上をまことに正確にさしたのでした。

「このほうが、いいわ。私たちまで元気になったようね。