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じげんばくだんきたん

時限爆弾奇譚

海野 十三

――金博士シリーズ・8――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

「なんだなんだ、なぜ、博士はけしからんのか」

「わしが案ずるところによると、金博士は、豪商に買収されているのにちがいない」

「買収されているって。それは、なぜそうなんだい」

「だって、そうじゃないか。第一は柱時計、第二は水甕、第三は花瓶、第四は寝台というわけで、今までのところで、この租界の中に於て、この四つの品に限り全部おしゃかになってしまったではないか。われわれは今夜から寝るのを見合わせるわけにも行かない。つまり寝台を新たに買い込まにゃならぬ。花瓶はちょっと縁どおいが、水甕だって時計だってすぐ新しく買い込まにゃならぬ。そうなると、商人は素晴らしく儲かるではないか。なにしろべら棒に沢山売れることになっているからなあ。それに彼奴らのことじゃから、足許を見て、うんと高く値上げするにきまっている。つまり、金博士は、商人に買収されて、あんな警告文を出したのにちがいないと思うが、どうだこの見解は……」

不断から冷静を自慢している一人の男が、咄々として、こんな見解をのべたのであった。

「なるほどねえ、それは大発見だ」

と、相手の大人が手を敲いた。

「ね、分るだろう。だから、あの新聞広告を見て愕いて、水甕を割ったり、寝台をばらばらにしたやつは、大間抜けだということさ。