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じげんばくだんきたん

時限爆弾奇譚

海野 十三

――金博士シリーズ・8――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

と、先生はうなずいて見せたが、しかし彼は、どういうわけか、完全に不安の念から放れたとまではいかなかった。

3

互に対立した二つの見解がたしかにあったのである。

この二つの見解は、二十四日、二十五日の両日に於て、互いに追いつ抜かれつ、その勢いを競ったのであるが、いよいよ金博士警告の爆発予定日たる二十六日の朝になると、爆発論者は勿論のこと、昨日までの不発論者たちすら、一せいに荷物をまとめて、エディ・ホテル附近からどんどん避難を開始したのであった。大きな口をきいていた彼等さえ、やっぱり気持がわるくなったらしい。してみると、金博士の信用なるものは、この土地では仲々大したものであるといわなければならない。

そのころ、当の金博士はどうしていたかというのに、彼は常住の地下室から、更に百メートルも下った別室に避難し、蟄居してしまった。それは、二十六日の爆弾の破片から身をのがれるためではなくて、博士が十五年前に装填した長期性時限爆弾に関して、問い合わせに殺到した官界財界その他ありとあらゆる職業部面の、概算三千人の群衆からのがれるためであった。なにしろそういう人々は事生命財産に関係することだとあって、衣服が破れ、鼻血を出し、靴の脱げ落ちることなど一向意に介せず、文字どおり博士めがけて殺到したこととて博士がそのまま